2025年8月13日に発生した中央線の運行トラブルについて

[2025年9月8日]

 2025年8月13日(水曜日)に発生しました中央線の運行トラブルにより、多くのお客さまにご迷惑をおかけしましたこと、改めてお詫び申し上げます。
 当日のトラブルの状況や緊急時輸送の実施状況、再発防止策やその他の改善策について取りまとめましたので、ご報告いたします。

1. 発生事象と原因について
◆ 2025年8月13日(水曜日)21時28分頃、中央線コスモスクエア~大阪港間のサードレール(電車線)において停電が発生し、再送電を試みるも復旧できなかった。
◆ ショートにより送電が停止したものと想定されたため、保守社員が現地へ急行し停電発生区間を点検したが、ショート跡などの明確な痕跡がなく、原因特定に時間を要した。
◆ 原因特定を進めるなかで、サードレールの伸縮継目(寒暖差によるサードレールの伸縮を吸収する構造)部の電気の連結を行うジャンパー線に巻いている延焼防止シートを撤去して絶縁測定した結果、数値が向上し、再送電が可能となった。
◆ ショートの原因としては、当該区間に設置している6か所の延焼防止シートにおいて、埃や鉄粉による汚損や湿気などにより絶縁性能が低下し限界値を超えてショートに至ったものと考えている。なお、万博輸送による運行本数の増加によって、急激な環境の変化があったものではないと考えている。



2. 8月13日から14日の緊急時輸送の実施状況
 13日のトラブル発生時、中央線を利用して万博会場から帰ろうとされていたお客さまは約3.8万人と推定される。これらの方々をお運びするため、地下鉄ネットワークを活用し、中央線の折り返し運転に加え、ニュートラムや四つ橋線を終夜運転することで大阪市内中心部まで移動が可能となるルートを確保した。
 また、混雑期となる8月1日から会期末まで、毎日17時から23時まで緊急輸送用に16台のバスを待機させている。当日は、16台のバスを23時以降も運行するとともに、大阪シティバスに9台のバスの出動を依頼し、合計25台のバスを用いて万博会場からJR桜島駅・弁天町駅への代替バスによる輸送を実施した。トラブル発生以降、翌朝5時までの間に鉄道で約1.9万人、バスで約0.3万人の輸送を行った。


<鉄道輸送>

21:28 中央線 コスモスクエア~大阪港間(上り)で、停電発生

21:30 中央線 全列車運転見合わせ 地下鉄・ニュートラム内振替輸送開始

22:00 ニュートラム 230秒間隔の運行を継続実施

22:05 他社線振替輸送開始

22:10 夢洲~コスモスクエア間折り返し運転開始

22:50 阿波座~学研奈良登美ヶ丘間折り返し運転開始

24:20 阿波座~学研奈良登美ヶ丘行き最終列車出発、以降森ノ宮・長田行きに変更

24:48 四つ橋線降車専用で、運行継続

24:10 ニュートラムを運行継続

5:05 四つ橋線 始発から通常営業開始

5:25 中央線 全線運行再開

6:50 ニュートラム 通常ダイヤで運行

〇運行実績

運行本数
中央線
夢洲
コスモスクエア
中央線
阿波座
長田方面
四つ橋線
住之江公園
西梅田
ニュートラム
コスモスクエア
住之江公園
22時台
4本
1本
6本
24本
23時台
2本
9本
6本
24本
0時台
8本
10本
4本
24本
1時台
8本
9本
4本
24本
2時台
8本
10本
3本
24本
3時台
4本
4本
2本
24本
4時台
4本
4本
2本
18本
合計
38本
47本
27本
162本

<バス輸送>
21:28 中央線 コスモスクエア~大阪港間(上り)で、停電発生
21:47 代替輸送バス準備開始
21:51 博覧会協会へ代替輸送バス運行を連絡
    ※駅シャトルバス運行終了後、第一交通ターミナルを使用することに決定
23:40 代替輸送バス運行開始
4:57  代替輸送バス運行終了

〇運行実績
便数
桜島行
弁天町行
23時台
12本
0時台
24本
1時台
3本
6本
2時台
4本
3時台
7本
4時台
3本
合計
39本
20本

3. お客さま目線での対応に関する課題・反省点
① 21時28分のトラブル発生以降の対応として、21時32分に博覧会協会へトラブル発生を一報し、夢洲駅構内の雑踏防止のため出入口の入場制限を行った。一方で、22時10分から実施した折り返し運転(夢洲~コスモスクエア間)に関する博覧会協会への情報提供は、折り返し運転実施後となった。その時点において、博覧会協会は地上部のお客さまを一旦会場内に戻るように誘導していたことから、会場内に戻ろうとするお客さまの流れと再び駅に向かおうとするお客さまの流れが交錯し混乱状態となった。雑踏を解消して安全を確保するため、23時45分までお客さまが駅に入場いただけない状態となった。21時32分以降、早い段階で折り返し運転の計画を博覧会協会と共有してお客さまの整理誘導を適切に実施できていれば、速やかにニュートラムを経由したお客さま輸送を行うことができたのではないかと考えている。
② お客さまへの運行情報の提供に40分を要してしまったことに加え、博覧会協会やお客さまへの情報提供が各路線の運行情報のみにとどまり、迂回ルートとして、夢洲~コスモスクエアからニュートラム・四つ橋線を経由して大阪市内まで移動が可能であることを分かりやすくご案内できなかった。

4. 今後に向けた対応策
(1)同事象の発生防止対策について
 同事象の発生要因として、延焼防止シートに加え、サードレールを設置している碍子の汚損も同事象の発生要因となり得るため、中央線のほか、サードレールを使用している御堂筋線・谷町線・四つ橋線・千日前線についても再発防止策を講じている。
① トラブル発生区間(中央線コスモスクエア~大阪港間(上り))の対応
 8月14日昼間に、目視による電車線設備の点検を実施し、14日夜間に、新しい延焼防止シートを用いて復旧し、異常がないことを確認している。
 また、8月15日から21日に、当該区間の碍子、約1,100か所の清掃整備を実施し、絶縁性能が更に向上したことを確認している。
② トラブル発生区間以外の対応
 紫外線によりシートが劣化しやすい御堂筋線や中央線の高架区間や絶縁抵抗がより低下しやすい中央線地下区間の漏水箇所などを優先して点検整備し、8月28日に完了している。引き続き他の箇所の点検整備を実施しており、中央線地下区間を9月12日までに、その他の路線を9月末までに完了させる予定である。

(2)他の運行トラブル発生リスクの低減について
 万博開催時の安全・安定輸送のため、運行トラブルに繋がるリスクを事前に洗い出し、主なものとして、例えば、レール交換や信号トラブル防止のための電気設備改良、小火発生防止のための軌道敷清掃などの予防的措置を行ってきた。万博期間中は、点検頻度の見直しや保守体制の強化を行っているが、今回の事象を受けて、信号トラブルに対するリスク箇所の一斉点検や、暑熱による高架区間の軌道変形、車輪の表面傷などの点検頻度を高め、発生リスクを低減していく。

(3)お客さま案内に関する改善について
① ホームページや e METRO アプリの運行情報の掲載が、運行停止後、約40分を要した。第一報として運行停止の情報を速やかに発信し、お客さまにお伝えする必要があるため、今後は約10~20分で掲載できるよう改善する。
② 折り返し運転や代替輸送バスに関するご案内について、運行区間の情報だけでなく、大阪市内へアクセスできるルートを、路線図を用いてご案内するなど、大阪市域外の方でも移動方法が分かるご案内に改善する。

(4)博覧会協会との情報連携
① 折り返し運転など、各区間単独の運行に関する情報を随時連絡することに加え、トラブル発生以降の迂回ルート等の運行方針についても、明確に博覧会協会へ伝達し、また、提供した情報が会場内でどのように発信されているかを博覧会協会にきめ細かく確認し、弊社のお客さまへの情報発信にも反映させる。
② 運行再開に向けた作業の進捗状況、運行再開見込みや見込みが立たない場合の状況などを具体的に博覧会協会や関係先に密に連絡し、一元的な情報としてお客さまにご案内できるよう改善する。
③ これらの情報連携を強化するため、これまでの博覧会協会来場者輸送情報センターとの緊急連絡体制やリエゾンの派遣に加え、今後は平時から来場者輸送情報センターへ本社管理職を1名追加し、2名体制で運行情報を正確迅速に連携できる体制とする。

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